2015年 関西支部会

  • 日程: 2015/03/28(土)
  • 大阪大学 中之島センター
Ç支部活動2015年 関西支部会
日程 2015/03/28(土)
会場 大阪大学 中之島センター

出席者:中迫会長、秋沢副会長,麻殖生先生,松行先生,東川会員,中田会員,片山会員,小林会員,早川会員,山田会員,早瀬会員、ゲスト出席者:正札様、野中様、川上様、宮石様

スケジュール:総合司会(事務局長、東川達三)

2015年 3月28日(土曜日)に、大阪大学中之島センターにおきまして、関西支部の年次行事であります「春の関西支部会」及び「春の研究発表会」を開催しました。今回は、新規加入の会員の方のご参加もある状況に鑑み、交渉学初心者向けの講座を開講することにしました。その後、研究発表会と論文テーマの検討会を参加者と共にデイスカッションし、研究テーマについて相互理解を深めました。秋沢先生提唱の「参加者みなが主役」が毎年春秋、実施ごとに具現化され、充実した1日となりました。

13:00~15:00基調講演及び交渉学講義(秋沢先生)
今回も新規加入の方が参加されるため、特別に交渉学初心者向けの講座を開講していただきました。ハーバード交渉学プログラムに基づいて講義と実際のロールプレイングを実施しました。交渉ロールプレイングを実際にやってみるために、事前に交渉学の基本理論をしっかり講義していただきました。実際に体験することで最新のハーバード交渉学の使い方がよく理解できました。秋沢先生のMBA講義ではMBAカリキュラム全体の時間的制約のため自学自修を求められた基本理論でしたが、改めて頭で理解していることを実際の交渉ロールで運用することの難しさを体感できました。ハーバードの初級編とのことでしたが、当日多く参加したMBA取得者にも大いに刺激になりました。秋沢先生の講義は毎回進化していますことを実感しました(笑)。
15:15~16:15研究報告会 (各20分)
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[発表1]
発表者:山田浩忠(日本交渉学会員、株式会社ダイキン工業・知的財産部・弁理士)
タイトル:「MPN理論のBtoBの分野への適合性についての研究」
―継続的なビジネス関係を前提としたBtoB分野での交渉の連鎖と信頼蓄積との相関―
要  旨:「マルチプル・ネゴーシエーション理論(以後、「MPN理論」)」を提唱した東川達三(2014)は、ビジネスの現場においては、単発の交渉に固執するのではなく、複数回の交渉を積み重ねていく形態が望ましく、この為には個々の交渉により信頼が構築され、この信頼が蓄積されることが、交渉の連鎖に繋がると述べている。しかし、ビジネスの形態は、業種や業界毎の取引の態様により異なるものであり、どのようなビジネス形態においても、MPN理論を適用できるかについては、言及されていない。そこで、本研究では、まずはB to Bのビジネス形態に対するMPN理論の適用に関し、ビジネスパーソンへのアンケートを行った。その結果、B to Bのビジネス形態では、MPN理論が適用可能であり、また信頼の構築は、交渉結果よりも交渉結果の履行によるほうが大きいことが分かった。従って、B to Bの分野では、この”交渉結果の履行”を果たす、つまり約束を守るということが、次回交渉へのモチベーションに最も強く寄与することが明らかとなったものであり、継続的なビジネス関係を前提としたB to B分野において重要であるものと考える。継続的なビジネス関係をいかに維持するかという観点より、交渉結果より交渉結果の履行をより重視することは、B to B分野での交渉戦略を検討する上で、今後更に研究の余地があると考える。
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[発表2]
発表者:中田真理子(日本交渉学会員、人材開発コンサルタント)
タイトル:「大学のキャリア教育に導入する交渉スキル」
要  旨:働き方や生き方が多様化する中、社会に出る前に自身のキャリアをデザインする学びが益々求められてきている。
自己理解に始まるキャリア形成プログラムは、従来は固定的なアセスメント・ツールや主だったキャリア論を基に教えられてきた。 しかし実際の社会でそれらが有効に活かされる為には、何よりもまず、知識や技術を柔軟に使いこなすコミュニケーション力を始めとする社会的な対応力が必要である。 そこで本研究では、わが国で採用されている主たるキャリア論をもとに、キャリアデザインの各段階で交渉スキルを導入することを提案する。 ハーバード交渉術の原則に基ずき、就職・就労・人生設計で活かす交渉スキルの導入例を紹介した。
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[発表3]
発表者:東川達三(日本交渉学会員、新樹グローバル・アイピー特許業務法人・パートナー)
タイトル:「日本交渉学会における26年間の研究テーマの変遷と今後求められる交渉学研究テーマに関する考察」
要  旨:日本交渉学会誌の創刊以来26年間発表された全論文の分析を行った結果に基づいて、その変遷を振り返る。そして、過去から現在まで綿々と継続して研究されてきたテーマの分析を発表した。
これらを総合した結果の考察として、今後交渉学会を通して発表されると推測される論文についての仮説を提示する。また、日本交渉学会誌を通して発表された論文の根底に流れる思想を元に、日本的な交渉に対する考え方について筆者が継続して研究を続けている「マルチプル・ネゴーシエーション理論」との関わりを踏まえ、国際的に通用すると考えられる交渉原則の交渉理論についての考察と提言を行った。
16:30~17:30論文テーマ検討会
(その類型的利用に関する一考察)
小林会員による論文執筆の方針と具体的な内容を説明していただき、それを課題としてご出席の先生各位に論文として仕上げるために必要なポイントを丁寧にアドバイスしていただきました。会員及びゲストの方々は、その議論に加わり論文として備えるべきポイントや論文作成の戦略について学びました。
17:45~18:15支部会
1.本日の発表会の総括
- 秋沢先生から総括をいただきました。
2.今年度の関西支部活動計画について
- 昨年同様に、10~11月頃に支部会・研究発表会を開催することを決議しました。
3.その他
- 6月の全国大会(開催校:大阪大学)を関西支部会としても支援することを決議しました。
18:45~懇親会(開催場所近隣)

文責:関西支部事務局長 東川達三